お部屋を借りるときにはどうしても避けて通れない「契約」。初めてお部屋を探す方にはわかりやすく、「引越し貧乏」を自認するほどのベテランさんにも「管理会社ってこんなことを考えてるのか」とわかっていただけるように「賃貸」契約の事をご説明します。よそよそしい手順説明は他のサイトにまかせて、ここでは「管理会社の考え方」も含めてご理解いただけたら幸いです。

ここでご説明する内容は、あくまで「株式会社荒嘉(アラカ)」で通常行っている事柄です。本内容が全ての不動産賃貸にあてはまるものではありません。そこのところを充分ご理解頂いた上でお読みくださいますようお願い申し上げます。
1.アラカが考える「連帯保証人」様のこと  弊社は主として不動産業種の「賃貸管理」というカテゴリーで営業しております。これは、賃貸物件全般に関する「管理」と「保守」を行う業務です。
 実はこの仕事、弊社から見ると一つの商品(ここでは貸室)にお客様が2人いるという非常に特殊な形態なのです。一人目は貸室を所有するオーナー様。二人目はそこをご契約して入居されるお客様。オーナー様には安心できる資産運用を、ご入居されるお客様にはより良い環境をご提供するといった、相反する利害を整理しなければなりません。そのため事前に大切なことを取り決めておく「契約」ということが必要となってくるのです。そのうえ、「生活の場」でもある賃貸貸室は、時間の経過のなかで変わりやすい人間関係も頭に入れて対応しなければなりません。

 皆様はお部屋を借りるときに不動産屋さんから「連帯保証人様」について必ず聞かれると思います。当然、弊社でもご契約時に「連帯保証人」を立てて頂くことが必須となっています。特に弊社では、連帯保証人様を「日本国籍を持つ親族の方」に限らせて頂く等、他の業者様よりもより細かく規定させて頂いています。もっと、範囲を広げて対応したいと常々感じているのが本音なのですが、現実はなかなか難しかったりします。保証人様の規定も、管理会社様によってそれぞれ規定はありますが、どういったものであれ、お部屋を借りるときには必ず「連帯保証人」が必要となっているのが一般的です。

 弊社が考える「連帯保証人様」への思いは「ご契約者様」へのそれと同一です。現実問題として、ご入居のお申し込みを頂く方は、初対面な上、お申込書面が多くの判断材料となっています。弊社やオーナー様との信頼関係はご契約後に構築されていくことになります。
以前には、ご契約時に非常に親しい間柄の方を連帯保証人としたり、または会社の上司の方を連帯保証人としてご契約をした経験もございましたが、ご入居中にその関係が壊れてしまっていることも多く、連帯保証人様のご協力が必要となるときに機能してもらえないということが多々ございました。
法律的には、そうした場合でも一定の強制力があるようですが、それを行使するための労力を考えたとき、弊社としてはリスクの方を多く感じています。
そうした経験から、将来何か問題が発生してしまったときの対応を真剣に考えて頂ける可能性がより高く、時間の経過にも左右されにくいという判断で「親族の方」といった線引きをさせて頂いています。

「賃貸住宅」という性格上、長い時間経過を考えなければならないので、滞納などの事由が発生したときの対応はもちろんの事、ご契約期間中の長い間、どんなこともご契約者と一体になって対応して頂かなくてはならない立場となる方ですから「なるべく問題を真摯に受け止めて頂ける可能性が高い間柄の方」ということになってしまいます。

金銭的なもの以外にも、所在や安否の確認・トラブルになったときの仲裁役等、連帯保証人様にご協力頂かなくてはならないことは賃貸管理をしているとみなさんの想像以上に日常的であることなのです。
追記
2020年の民法改正による連帯保証人様の扱い
 2020年4月から新しい民法が施行されました。賃貸管理を主業とする弊社は、この改正で「連帯保証人」の考え方を大きく変えていくこととなりました。

 改正点を簡単にいうと 「連帯保証人の保証範囲とその上限を予め設定し、連帯保証人にはそれを納得した上で了承を得なければならない。」というのが、大きな柱になっています。もちろん、改正の趣旨としては「ごもっとも」と思われるところも多く、改正は必要なものと感じていますが、弊社といたしましては、当然ながら現在ご契約中の方々も含め、「連帯保証人」の考え方を変えていかなければならなくなりました。上段でも書きましたが、弊社が重視している「滞納等」とは別のところの協力に対して、事前に書面にすることが難しいことや、かといって全ての想定される事由にたいして列挙した書面は、煩雑で、余計にわかりづらくなってしまうのではないかと考えております。
 また、個人保証の上限を常識はずれの設定には当然できませんし、個々の連帯保証人様の保証上限金額の設定根拠も、万一のことを考えるとあいまいにはできません。今までは、重視するところの違いから、連帯保証人様のご収入は自己申告に基づき判断していましたが、これからは金額の設定をきちんと担保するために収入の証明になるものをご提出いただかなければならなくなってしまいそうです。そういった個人情報や事務手続の多様化が、少人数で運営している弊社でできるかというと、甚だ疑問が残ります。

 そこで、苦渋の決断ではありますが、弊社では、2019年2月1日より、個人契約と法人の規模によっては原則として保証会社を利用して頂くことといたしました。
一方、金銭債務(滞納等)以外の事については、ご契約時に弊社書式の「緊急対応承諾書」をご提出して頂き、万一、契約者が行方不明等で連絡が取れなくなったときに対応窓口になって頂く方を指定、承諾して頂くことにいたします。この緊急対応は、契約者の金銭債務について責任は負わないこと等を明記したものを作成しています。(弊社では、これまでも保証会社ご利用の方には同様の書面を作成、提出して頂いておりますので、それを基に作成しております。)

2.連帯保証人が立てられない方はどうするのか  こうした弊社の基準があることから、今まではご対応中、個人的には「この方なら大丈夫だろう」と感じながらも、涙をのんでお断りするしかないお客様もたくさんいらっしゃいました。そんなときは、ほんとにつらい気持ちでいっぱいです。
しかし、オーナ様の資産をお預かりしている立場としましては「より安全に」が前提となりますし、ご入居頂く「責任」と、保全をとらなければならない「責任」との狭間でいつも葛藤していました。
また、人間関係の希薄化のせいでしょうか、最近は「親族」といえども、連帯保証人になる(なってもらう)ことに抵抗がある方も出てきております。

そうした中で、最も大切なもののひとつである「賃料滞納」の問題については、解決策の手段があります。
それは、賃料保証会社がオーナーに対して借主様が万一滞納した場合に、その賃料を保証するというシステムです。その保証は借主様がご契約時に保証料として、その保証会社に一定の金額を支払うということで成り立ちます。このシステムを利用すれば、ご契約時や更新契約時に借主様の費用負担が多少ふえるものの、様々な事情で「連帯保証人」を立てられない方にとっても大きい一歩になるかと思います。

弊社にとっても、「保証会社」の審査がOKならば大丈夫といった裏付けにもなりますので、大変重宝しています。
弊社では賃貸保証会社として、JID(日本賃貸保証株式会社)・全保連株式会社大和ハウスフィナンシャル株式会社株式会社 Casaと提携しています。
どちらも、ご契約中に借主様に一定の費用負担が発生します。その額は大きく異なるものではありませんが、場合によってはお得になる情報もございますので、お客様が提携保証会社を選択してお申込み頂きます。

このシステムをご利用頂ければ、「連帯保証人がいない」というお客様でも、お気軽にお申し込み頂けるようになりました。但し、
ご契約期間中には金銭的な問題ばかりではないので金銭債務以外の窓口(緊急時対応者)になって頂ける方の承諾書をご提出頂きます。(ご関係は親族の方をお願いすることが原則となりますが、「連絡窓口」という立場となりますので、より広いご関係の方でも対応が可能になります)
3.賃貸保証会社を利用した場合のご契約手順(日本賃貸保証株式会社の場合)
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